Marshall ACTON2 『マーシャル アクトン2』のレビュー

20192月、Marshallの据置型Bluetoothスピーカー3機種がモデルチェンジしました。

今回はその新たなMarshallコレクションの中で最も小さな据置型スピーカー“ACTON2 / アクトン2”ついてレビューしたいと思います。

Marshall ACTON2/アクトン2

数あるギターアンプの中で、何故マーシャルアンプは多くのミュージシャンから愛され続けるのか。

ディズトーションが効くから?

デザインがかっこいいから?

伝説のギタリスト達が使っていたから?

多分どれも正解ですね。

マーシャルって孤高と言いますか、憧れと言いうか、今も昔もそういうブランドなんですよね。

スペック云々も大事ですが、要は自分が出したい音や聴きたい音かどうか、それだけなんです。

マーシャルはミュージシャン達のそんな期待を裏切ることなく、むしろ期待以上の音を放ってきたからこそ、プロやハイアマチュアの憧れのツールとして絶対的な信頼を得ているわけです。

ACTON/アクトン2は、そのマーシャルのスピリットを継承し、デフォルメした演出性の高いチューニングではなく、より演者の発する生音を忠実に再現するために作られたコンパクト・スピーカーなんだということがよくわかります。

 

 

アクトン2のデザイン性

外観は過剰なデザインや近未来的なガジェット感という派手さはなく、素朴なビンテージ・アンプそのままのイメージで、、前モデルと比べると少し洗練されてモダンさが増した感じ。

マーシャルアンプが部屋にあるだけでインテリア的にも相当ロックしてますが、実際にエレキ系の楽器をやっていない人には縁遠いモノでした。

でも、ACTON2/アクトン2は誰もがミュージシャンの気分に浸れるロック・インフルエンスなスピーカーです。

それでは細部について触れておきましょう。まず、今回のリニューアルの変更ポイントをご紹介しておきます。

カラーはブラックとホワイトの2色。

どちらもマーシャルアンプと同じ合成皮革を使用してますが、ホワイトはこれまでのクリームよりもオフホワイト調となりよりクールな印象に変わりました。

ブラックは従来通り。

さらに最もわかりやすい前モデルとの違いは、スピーカーグリルとロゴの変更。

スピーカーグリルのフレット・クロスは、これまで通りマーシャルアンプと同じ素材ですが、前モデルがFRET00029/30 ブラック/グレーのまだら模様だったのに対し、今回はFRET00012 ブラック/クリームのソルト・アンド・ペッパーに変更されました。

またマーシャル特有のスクリプト・ロゴも、角にテーパードを施していた前モデルからスクエアな立体ロゴへと変わっていて、カラーもゴールドから高級感のあるブロンズに変更されています。

これだけで現代っぽく見えちゃうんですよね。

そして、正面グリルの下部に真鍮のプレートが取付けられ、ブランドの創設期がエッチングされ伝統と歴史の深みを感じてカッコいいですね。

こういうところを見てもマーシャルは、ブランドとしてのルーツをとても大切にしていることが伺えます。

操作系の意匠の違いは、トップの3つのツマミ部分ですが、今モデルは音量、低音、高音用のインジケータバーがLED点灯表示になりました。

これはついつい忘れがちですが、このスピーカーがデジタルであることを思い出させてくれる演出のひとつです。

また、マーシャル製品全てに共通する特徴がこれらの物理ツマミ。

ボタンなどに比べ非常に分かりやすく誰にでも直感で扱えるマーシャルのアイデンティティの一部ですね。

 

 

アクトン2の音質

最も気になる音質ですが、前モデルはどちらかというと低音がかなり効いていて、伸びのある高音とのメリハリが特徴でしたが、ACTON2/アクトン2になって中音域により厚みが出て、落ち着きと厚みのあるマイルドでフラットな感じになり、解像度も確実にアップしています。

またクラスDアンプによる30Wのウーファーを備えているので、そのサイズからは想像できないほどダイナミックでパワフルなサウンドを放つ頼もしいコンパクトスピーカーに仕上がっています。

さらに今回のリニューアルの目玉の一つは、「Marshall Bluetooth」という専用アプリを使ってイコライジングできること。

しかもロックやジャズ、メタルにポップなど8つもプリセットされていてチョー便利。

このイコライザーがあれば、楽曲に合わせて手元のスマホで5種類の音域が微調整ができるので、より自分好みの音に近づけれるという横着な私にはとてもありがたい機能です。

 

 

そしてもうひとつ、このアプリを使ってリニューアル版のマーシャルスピーカー2台をワイヤレスでステレオにできる点。

普段は別々の部屋で単独で使用して、必要に応じて2台をL,Rに振って、ステレオで鳴らすという使い方ができるということ。でも、果たしてどのくらいの人が活用するのでしょうね(笑)。

実はACTON2/アクトン2はそれ単体でもステレオなのですが、如何せん本体が小さいためスピーカーのL,Rをあまり感じることができません。

そのためどうしてもステレオでなくちゃという方には、勇気を出して2台まとめて大人買いにするのもありですかね。

その他では、ACTON2/アクトン2には先に発売されたKILBURN2にも搭載されている機能で、「マルチペアリング」という中々おもしろい機能があって、Bluetoothに同時に2つまでのデバイスでペアリングができるというもの。

どんな使い方をするのかというと、ACTON2/アクトン2は事前にペアリングしたデバイスを記憶していて、常に2台まで同時接続している状態をキープ。例えばACTON2を使ってPCNETFLIXを観終わったあと、今度はスマホで音楽を聴くときなどは、今までは一旦ペアリングを解除して新たにペアリングをし直さなければならなかったのが、スマホの再生を押すと瞬時に切り替えるられちゃう。言い換えれば、再生途中で他方のペアリングデバイスの再生ボタンを押すと勝手に切り替わるわけ。

複数でペアリングしていても再生中のデバイスと、その次にペアリングしたデバイスの2つまでがペアリング待機しているということ。

これは地味だけどあると便利な機能で結構使うと思います。

ワイヤレス機能は最新のBluetooth 5.0にアップデートされているため、音切れもなく快適にワイヤレスで音楽を楽しむことができるので安心です。

ただ、aptXに対応していないのが残念ですが、恐らくこのサイズではaptXの効果をあまり感じとることができないからだと思われます。

 

 

まとめ

4年ぶりのモデルチェンジとあって期待していましたが、その期待を裏切ることなく中身の濃い進化を遂げてると実感しました。

マーシャルの据え置き型のスピーカーは大中小と3種類あって、その中でもACTON2/アクトン2は最も小さいスピーカーですが、サイズも前モデルとほとんど同じで、外観は10m離れてみると違いもほとんど区別がつかない程の地味なアップデートにもかかわらず、音質や使い方が全く別物に変わったのには驚きました。

今モデルもアナログ感たっぷりの風貌ですが、きっちり近未来の予感を載せつつ、最新のデジタル機能をふんだんに盛り込んだACTON2/アクトン2。

カメラもすっかりミラーレスに打って変わり、車も電気自動車に移行しつつある今、様々なデジタル機器の賞味期限は益々短くなってきているので、折角搭載された新たなデジタル機能はたっぷりと味わってみないともったいないですね。

 

 

 

ぶん / Noboru