「音楽で映画を観る」こと

緊急事態宣言が出てから、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

弊社でも在宅ワークが導入され、ほとんど外出をしない日常が続いている。

家で仕事をすることには慣れてきたが、それ以外の時間どうも有意義に生かせないでいる。

私はわりと映画を観る方で、今年はかなり映画を見ることに注力していた。

しかし、こうも時間がありすぎると「映画を観る」という行為そのものに疲れてしまい、120分程の映画すら気合を入れないと気持ちが持たなくなってしまった。

そんな食べて寝るだけの養豚ワークを少し変えたきっかけは、一昨日、オンライン会議中にGENEVAの話をしている最中だった。

GENEVAはスイスのオーディオブランドとして、世界で初めてデジタル音源を家庭用スピーカーで再生可能にしたHi-Fiオーディオブランド。当時iPodドックを備えた本格的な高音質スピーカーはその先進性と独特なデザインで世界を席巻しました。

今でもオーディオ業界からその功績を讃えリスペクトされているブランドなのです。

そのGENEVAのサウンドエンジニアリングチームにはPer Hallberg(パー ハリバーグ)氏という方がいて、アカデミー音響部門で何度も最優秀賞を獲得している。

彼が手がけた作品をいくつか教えてもらったのだが、 『ブレイブハート』『グラディエーター』『ボーン・アルティメイタム』『007/スカイフォール』『フェイス/オフ』『Ray』・・・ 非常に有名作品ばかりなのに、自分でも驚くことに一つも見たことがなかった。

これは過去「ハリウッドアンチ、マイナー映画イキリ」だった私の代償である。

しかし、今の私は違う。

ハリウッド映画への偏見は捨て、MARVELやSTAR WARSを半年で全て見切った女だ。(※全然時間はかかっている。)

こうして私は『グラディエーター』を観ることにした。155分。この数字を見た時はあと一歩で逃げ出すところだった。危ない。

Per Hallberg(パー ハリバーグ)氏を勉強するためにも「音楽で映画を観る」。

すると、映画の見え方が少しだけ変わるのだ。

(※ここから先は『グラディエーター』のネタバレを含みます。あしからず。)

まず、最初の戦いのシーンだが、戦いの開始~途中までは気迫のある戦いの物々しさを語るような音楽がかかっている。

しかし、これがだんだんとフェードアウトし、スローモーションの映像とともに悠々とした壮大な音楽へと変わる。

この時点で観客は「あ、戦いに勝ったんだな」と理解することができる。

その後、音楽に合わせるように主人公が戦いに勝ったことを宣言する

このように音楽で映画を観てみると、音楽はセリフよりも先にストーリーを伝える効果を持っていることに気付ける。

また、コモデゥスが父親を殺すシーンでも同様であった。

というより、コモデゥスが登場したシーンからなのだが、あまりにも不穏な音楽が流れている。これにより「こいつ絶対悪いやつだ。。」と思いながら、コモデゥスを目で追うことになる。

そして、問題のシーン。涙を流すコモデゥス。コモデゥスが可哀想なシーンであれば柔らかい音楽が流れるはずだ。

しかし、またもここで不穏な音楽が流れる。

「絶対殺されるやつだよこれ」「パパ逃げろ!!!」と思っていたら、コモデゥスは本当に手を下してしまった。。

すごい。見事に音楽によって不安を煽られた。

意識的に音楽を聴くことによってこんなことが試せるし、しかも、一度見たことのある映画でも「音楽で映画を観る」ことを意識してみると、「あ~!!ここでこんな音楽が流れるのって、このあとこうなるからなんだ!!!」とか、

新しい角度から好きな作品を見直せる。

最近は本当に映画を流し見している状態だったけど、少し意識を変えるだけでこんなにも楽しくなるんだな。

ていうか、この音響を担当している人がエンジニアリングしたスピーカーって絶対この映画見るのに適してますよね。

Per Hallberg(パー ハリバーグ)氏が音響を務めた『ボーン・アルティメイタム』とか『Ray』もSpotifyなどで是非聴いてみてください。

あと、Spotifyには『グラディエーター』のサウンドトラックが入ってますしね。

是非、在宅期間のお供に、スピーカーで映画を観たり音楽を聞いたり。ちょっとした贅沢をしてみませんか。

 

 

 

 

ぶん / Ayano