Marshall『MONITOR Bluetooth』(マーシャル・モニター・ ブルートゥース)、 マーシャル・ヘッドホンの最上位モデルのレビュー

2017年も残りわずかとなった12月。
クリスマスシーズンに合わせ、オーディオ業界も新機種が店頭の棚を埋める時期となりました。

年末年始をお家でゆっくりと過ごされる方、出掛けられる方、また旅行に行かれる方とそれぞれの過ごし方があると思いますが、気持ちをリセットできる時期でもあります。

そんな時こそ、ゆっくりと好きな音楽でも楽しんでリフレッシュしてみませんか。

そこで、今回はMarshallヘッドホンの『MONITOR』に待望のBluetoothが備わり、『MONITOR Bluetooth』(モニター・ブルートゥース)として新発売されたばかりの最上位モデルをご紹介したいと思います。

 

ヘッドホンの種類と特徴

このヘッドホン、「モニター」という名前通りモニタリング用のヘッドホンですが、そもそもヘッドホンにはいろんな種類がありますよね。そこでヘッドホンに詳しい拓也くんに、まずはどんな種類のヘッドホンがあるのかを聞いてみました。

N(私)いろんなヘッドホンの種類がありますが、大きく分類するとどのようになりますか?

T(拓也)「ポータブル・ヘッドホン」「モニター・ヘッドホン」「リスニング・ヘッドホン」の3種類に大きく分類できます。

N ではそれぞれの特徴を教えてください。

T ポータブル・ヘッドホンは、その名の通り外に持ち運びやすく、一般的に広く使用されているタイプのヘッドホンです。他の種類のヘッドホンに比べて比較的小さくて軽量です。外に持ち出すことが前提なので、デザインも多様でスタイリッシュなものが多いです。また有線タイプの場合は、ケーブルにリモコンやマイクが付いているものが多いですね。同じポータブルの中でもBluetoothヘッドホンや、ノイズキャンセリング機能がついたヘッドホンなども最近は人気です。
音の傾向は様々で、特に統一されておらず、メーカーの特徴が出やすいですね。
価格帯は数千円〜7万円前後くらいと幅広いです。

T モニター・ヘッドホンは、業務用としてテレビ局とかレコーディングスタジオで使用することを目的で作られています。そのためケーブルの長さが3mくらいのものも多く、(普通は1.2m)また、見た目は地味なものが多いです。
音質については元々音を「聴く」のではなく「評価する」ためのものなので、音場(フィールド)が狭く全ての楽器や人の声などの音が聞き取りやすいのが特徴です。モニター・ヘッドホンの中には、DJモニターというDJがプレイするためのヘッドホンもあります。
価格帯は1〜3万円くらいです。

T リスニングヘッドホンは。本当に音楽を楽しむためのヘッドホンなので、家でゆっくりと聴くようなイメージです。
ハウジングが大型のものが多く、基本は据え置きのアンプとセットで使用します。
中には開放型と言われる種類があって、音場がとても広くてまるでスピーカーで聴いているかのようなものまで存在します。
価格帯は数万〜数十万円です。(Max 250万円のモノもある)

 

MONITOR Bluetoothの位置付けは?

N ではこのMarshall『MONITOR Bluetooth』(モニター・ブルートゥース)はどのような位置付けになるのでしょう?

T ポータブル性を兼ね備えたモニター・ライクなヘッドホンという位置付けですかね。

N ポータブルとモニターのいいとこ取りのヘッドホンということですか?

T 一概にそうとは言えません。なぜなら、ヘッドホンの種類より音質にこだわってヘッドホンを選ぶ人が多く、一般的なポータブルヘッドホンは、メーカーの主張で違いはあるものの、低音が強いものが多いのです。でも、この強すぎる低音の癖が嫌いで、全ての音を緻密に拾ってくれるモニターっぽい音質が好きな人も多く、そのニーズに応えるためにバランスよくチューニングしたのが『MONITOR Bluetooth』だという感じです。

N なるほど。では、スタジオなどのレコーディング感覚の音場(フィールド)を外で味わうことができるヘッドホンということですね。

T その通りです。

 

MONITOR Bluetoothと他のモデルの違い

N そう考えるとMarshallの他のモデルとの違いがはっきりしますね。
最後にMarshall『Major2 Bluetooth』『MID Bluetooth』『MONITOR Bluetooth』の違いを簡単に教えてください。

T『MAJOR2Bluetooth』は、ギターアンプのマーシャルらしい低音に厚みがあって暖かい雰囲気の音。

『MID Bluetooth』 は、名前の通りミドルレンジのボーカルやギターサウンドに特化していて、アタック感が強いのが印象的です。

『MONITOR Bluetooth』 は、高音から低音まで満遍なくバランスのとれた音が楽しめて、一番解像度が感じられる音作りになっています。

N それぞれ個性があって、どれも魅力的で迷ってしまいますね。分かりやすく説明してくれてありがとう。

 

MONITOR Bluetoothのデザイン

この『MONITOR Bluetooth』は前モデルの「MONITOR」と外観のデザインはほとんど変わっていません。他のモデルと意匠的に違う点は、ハウジングの形状が卵型の楕円形になっていて、耳全体を包みこむオーバーイヤー・タイプのヘッドホンというところです。

Marshallの他のモデルはハウジングの形状が四角いスクエアなデザインですが、この『MONITOR Bluetooth』だけはラウンド型のデザインとなっているところが、しっかりと「音を確かめる」というモニターヘッドホンの証なのでしょう。

 


その他では、ヘヤーバンドのヒンジは前モデルと同様、しっかりとしたディティールが高級感を漂わせますね。

 


ヘッドバンドは合皮の縫製タイプですが、同じ合皮を使った『MID Bluetooth』よりは幅が狭いです。なぜMIDより細いのか?これはスタジオでモニター使用する際に、ポータブル・ヘッドホンと違い動き回ることがないので、ホールド感を損ねない範囲でわざと細くし、頭への負担を少なくするためです。

 
また、旅行や移動に便利な付属の専用巾着袋がとてもかっこよく気に入っています。

外観は前モデルの『MONITOR』とあまり変わらないので、『MONITOR』のレビュー・ページもご参考にしてください。

 

 

MONITOR Bluetoothの機能

さて、Bluetooth機能が備わった新しい『MONITOR Bluetooth』の機能について触れてみたいと思います。

・aptX搭載

aptX(アプトエックス)とは、Bluetoothの通信で用いられる音声コーデックのこと。 スマートフォンで標準的に使われることの多いコーデックよりも高音質、低遅延で音声データを伝送できる規格です。 ただし、aptXを利用するには、送信側と受信側の両方のデバイスが対応してなければなりません。

ということで簡単いに言うと、Bluetoothでも高音質、低遅延なため、映画などの動画の視聴などに向いているというものです。Mashallとしては初めてヘッドホンにこの機能を搭載しました。さすが最上位機種ですね。

ただ、上記にもあるように、送信側もaptXに対応していないと機能しないので、Bluetoothを利用して映画などを鑑賞する場合は、ヘッドホンにデータを送信する機器もaptXに対応している必要がありますので、気をつけてください。

もう一つ大事なことは、このaptX、実は当初BlutoothがVer.2の時代に遅延がひどく、クレームが殺到したことに対応して開発された機能で、当時は確かに優れていたのですがBluetoothの規格がVer 4に進化した現在では、もはやその違いを感じることはほとんどありません。だから個人的にはaptX搭載というアドバンテージは、商品選択の上であまり考慮する必要はないと思います。

 

・人間工学に基づいたフィット感

とても優れた金属製のヒンジと、合皮製のヘッドバンドのホールド感が絶妙で、人間工学に基づいて設計されているので長時間装着しても痛みや疲れたりしないのがいいですね。

・連続再生時間30時間以上

およそ3時間のフル充電で30時間以上の連続再生が可能なため、通常の使用であれば1週間に1〜2度の充電で問題ないと思います。(MIDと同じくらいです)
私の場合、通勤や就寝時と週末に少し使用する感じですが、週に1回の充電で十分です。

 

次は、上位機種なのでスペックが気になりますよね。

 

ドライバ:40mmダイナミックドライバ

インピーダンス:32Ω

ドライバ感度:95dB SPL

周波数応答:10Hz〜20kHz

ワイヤレス接続:Bluetooth v4.0 aptX

有線接続:3.5mmステレオミニジャック入力

Bluetoothの範囲:10m

コントロールノブ:あり

マイク&リモコン:あり 

 

この通りスペックのデータを見ると、玄人好みな味付けだということがわかります。
さすがMarshallヘッドホンの長男という感じです。

 

また、ハウジングに付いている真鍮のスティックは、とても使いやすく親指だけで全ての操作を簡単に行うことができます。

もっと詳しく知りたい場合は、下記のリンクで詳細をご確認ください。

 

 

まとめ

マーシャルがチューニングした最上位モデルの『モニター・ヘッドホン・ブルートゥース。』
これは一体どんな人に向けて開発しているのか。
今回約3週間ほど使用してみてわかったことは、このヘッドホンはより原音に忠実な再現性を求めてチューニングされているということ。Marshall (マーシャル)= ROCK(ロック)ということに異論はありませんが、それ以外にも様々な「音を楽しむ」ために、マーシャルが真剣に作ったという感じがひしひしと伝わってきます。それゆえ、BluetoothもaptX対応とするなど、たとえワイヤレスでも抜かりなく。といったところでしょうか。

私なりにこのヘッドホンをひとことで言い表すと、「Marshallmファミリーの優等生の長男」という感じ。

この優等生のMarshall『MONITOR Bluetooth』(マーシャル・モニター・ブルートゥース)は、上質というモノと音を感じることができるヘッドホンでした。今回使用してみて1ランク上の音を味わうと、もう元には戻れないというのが正直な感想です。

ぶん / Noboru