オトとヒト「サーフトリップ・キャンプで、身勝手DJ。<ラブバラード編>」TRANSPARENT × ザ・サーファーズ・ジャーナル・ジャパン編集長 井澤 聡朗
「サーフトリップ」の友 Light Speaker

NAVYS JOURNAL「オトとヒト」。記念すべき2025年の第1回目は、ザ・サーファーズ・ジャーナル・ジャパン編集長の井澤 聡朗さんが登場。愛用するTRANSPARENT Light Speakerの魅力と<ラブバラード編>と銘打った選曲を紹介してくれました。それでは、井澤 聡朗さんの身勝手DJタイムをどうぞお楽しみください!
はじめまして。
カリフォルニアはサンクレメンテを拠点に、世界のサーフィン事情をジャーナリスティックな視点から紹介する『THE SURFER’S JOURNAL』。その日本版の編集長をやっております井澤と申します。
知ってる人も知らない人も、サーファーもそうじゃない人も、どうぞよろしく。

わたしが波乗り=サーフィンの魅力を知ったのは1975年。アメリカから音楽やカルチャーがドドッと押しよせたあの時代です。すでに半世紀を経過しようとしていて、今や波乗りの魅力の感じ方にも少し変化を感じる年齢にはなりましたが、それでも「永く楽しむ」をテーマに、波乗りライフをゆっくり歩き続ける今日この頃であります。
さて今日は、数多い波乗りの醍醐味のなかでもとりわけ魅力的な「サーフトリップ」の友として、わたしも愛用しているTRANSPARENT のLight Speakerについてご紹介したいと思います。
アフターサーフが充実したリラックスタイムに

カンテラのようなカタチをしたライトスピーカーは、その形状からはにわかに想像できない、豊かな音質と広がりのあるサウンドをもつ高品質ポータブルBluetoothスピーカーです。なんといっても、サーフトリップ時の海辺でのキャンプなどに本領を発揮しそうなそのフォルムがまず気分。さらに音楽に共鳴する火の揺らぎをイメージした灯りが、アフターサーフのくつろぎタイムを充実したリラックスタイムにしてくれるはずです。

そこで今回は、<ラブバラード編>と銘打ち、とりわけわたしと同世代のご同輩サーファーたちに向けて、サーフトリップのキャンプをイメージした、海の夜にふさわしい独断と偏見の身勝手DJタイムをセッティングし、ライトスピーカーの魅力を探ってみようと思いたちました。
独断と偏見の身勝手DJタイム!
①It's A Blue World by The Four Freshmen

オリジナルは1940年代のミュージカルで歌われた曲でさまざまなアーティストがとりあげられたスタンダードです。が、これはなんと言ってもザ・フォーフレッシュメンの、’58年に発表されたこれに限る!去りゆく恋人に思いを馳せ、これからの独りぼっちのブルーな世界に思いを馳せる…。そんな気分を綴ったリリックが夜のとばりにこだまします。重厚なハーモニーがライトスピーカーをとおして足下を這っていきます…気持ち良いったらないのだ。
②Tea For Two by Nick DeCaro

お次も、’50年代にドリス・デイやアニタ・オデイといった女性シンガーによって歌い継がれたスタンダード。今回は、名アレンジャーとして’70年代〜’80年代アメリカンポップスの裏方として大活躍していたニック・デカロが、’74年に発表した1stソロアルバム”Italian Graffiti”からのレコメンド。ピアノ伴奏で歌われるへたうまソロボーカルから、ハープの音色とともに一気にスペーシーに広がるジャジーでドリーミーなアレンジは秀逸。ライトスピーカーのポテンシャルを知るに最適な一曲です。
③Speak Low by Boz Scaggs

古のスウィートハーモニー2曲に続いて、1940年代にNYのティンパンアレー界隈で生まれたラブバラードの傑作です。今回はあのボズ・スキャッグスが2008年に発表したジャズアルバムからセレクトしてみました。お決まりの”Low Down”や”Jojo”あたりをセレクトしないのが身勝手DJの嗜みです。そしてライトスピーカーを唸らせるウッドベースの深い音色にドップリ浸かりましょう。
④You’ve Made Me So Very Happy by Alton Ellis

1967年にタムラモータウンからブレンダ・ハロウェイによって発表されたラブバラード。ソウルシーンではスマッシュヒットでしたが、’69年に当時ブラスロックの雄と謳われたブラッド・スウェット&ティアーズによるカバーがビルボードチャート1位となる大ヒットを記録。一躍ロックバラードのスタンダードとして、さまざまなアーティストに歌い継がれてきた名曲です。これは、その美しいラブソングをロックステディの父と呼ばれるジャマイカのアルトン・エリスが、ラバーズロック風味で決めるいなせなバージョン。
⑤Love Has Found Its Way by Dennis Brown

ラバーズロック繋がりでデニス・ブラウン’82年のスウィートな一曲を。甘味でスモーキーなデニスの声質が夜の海辺にシックリ来るはず。気持ちの良いコード進行で縦横に駆けめぐるベースラインがラバーズサウンドのひとつの特徴だけど、そういった旨味を屋外でも充分に感じられるという点では、ラバーズロック×ライトスピーカーって、かなり魅力的なケミストリーなんだなぁ〜を実感。それにしてもラバーズロック….なんてロマンチックなネーミングなんだ。
⑥If You Want It by Niteflyte

‘76年に発表されたボズ・スキャッグスのアルバム”Silk Degrees”以降、世はまさにAORのスウィート&メロウ・サウンドが主流となっておりました。そんな時代にあって当時わたしが大好きだったのが、このフロリダから登場したナイトフライト。79年に発表された彼らのアルバムからのファーストトラックがこの曲。都会的でちょっとファンク色も感じさせるこの曲のイントロが、日本のビッグなあの人のあの曲に影響を与えていることは一聴瞭然!な訳で、わが国のミュージシャンにも大きな影響を与えた隠れ名盤。星空だといよいよ気分なんだけどなあ。
⑦A Love Of Your Own by Average White Band

そもそも忘れられがちなのがアメリカ西海岸LAのネッド・ドヒニー。その多彩なソングライティング・センスで、さまざまなアーティストに楽曲がとりあげられています。チャカ・カーンの”What Cha’Gonna Do For Me”などが有名ですが、ここではスコットランド出身のファンクバンド、アヴェレージ・ホワイト・バンドがカバーしたバラードを。彼らのホール感のあるディスコサウンドのお陰でライトスピーカーの懐の深さを実感できる一曲です。
⑧I Don’t Know Why I’m So Happy I’m Sad by Michael Franks

少し趣を変えてちょっと小ユニットのバンド編成を試してみようかな。マイケル・フランクスの’74年作アルバム”Art Of Tea”からの1曲。バックを担当するのはザ・クルセイダース。気持ち良く跳ねるジョー・サンプルのエレピに、繊細に絡むラリー・カールトンのギター。コンパクトな演奏なんだけど、ニック・デカロのアレンジによるストリングスがまるで旅客機に乗っているような気分にさせてくれる一曲。当然ライトスピーカーがその広がりを増幅してくれるからなのだろうな。
⑨Love Of Mine by Stuff

西のクルセイダースを聴いたら、やっぱり東のこの人たちを聴きたくなってしまった。’77年の2ndアルバム”More Stuff”から、ベースのゴードン・エドワーズの味わい深いボーカルが楽しめるラブソング。スティーブ・ガッドのシグネチャー・リズムと、パーカッシブなリチャード・ティーのピアノ、そしてその間をエリック・ゲイルの泣きのギターが飛び交う。そんなバンドサウンドに歌われる素晴らしくあたたかくシンプルなおっさんボーカルにどっぷり浸れるのも、このライトスピーカーの持ち味なのかな。
⑩In A Silent Way by Miles Davis

今回最後の曲は、ラブソングでも何でもないけど、やっぱりこれ。マイルスはすべての時代を通じて大好きだし、いろんな意味で啓示を与えてくれるそんな存在。どんな世界にも既成概念を破壊して新しい価値観を提示するイノベイターが存在するけれど、マイルスはまさにそのイノベイターそのものですね。エレクトリックマイルスがいよいよ全貌を現したと言われた’69年のジャズ史に残る名盤はやっぱB面から聴こう!ここから’70年代の音楽がまたどんどん変貌を遂げていく。そんな一枚で、サーフトリップ・キャンプの一夜をしめくくる。
[お話を聞かせてくれたヒト]

井澤 聡朗 ザ・サーファーズ・ジャーナル・ジャパン編集長
1955年、石川県金沢出身。父の仕事の関係で日本各地を転々とする中で映画と文学への造詣を深める。大学在学時にサーフィンと出会い、以降『サーフィン×映像』をメルクマールに映像制作の道を志す。ディレクター、プロデューサーとして作品制作の経験を積み、『ウィングナットのアート・オブ・ロングボーディング』はじめ、アクションスポーツ系作品を多数手がける。一方、『サーフィンワールド』誌、『サーフ1st』誌にて20年間にわたりコラムを執筆。2011年、『ザ・サーファーズ・ジャーナル』日本版の創刊に参加し、現在は編集長として活動。