【新製品レビュー】マーシャル キルバーン2『Marshall / KILBURN Ⅱ』
マーシャル / Marshall が初めて世に送り出したポータブルBluetoothスピーカーが「キルバーン / KILBURN」。
キルバーン/KILBURNのリリース当時、マーシャルらしい重厚な低域とインテリアとの親和性の高さに加えて、長時間再生可能なポータブル性から、マーシャルのスピーカーの中で最も人気のモデルとなった。
そのキルバーン / KILBURNが、今回新たにモデルチェンジして『KILBURN Ⅱ』として生まれ変わりました。
前モデルはブラックとクリームの2色展開でしたが、新たなキルバーン2 / KILBURN Ⅱ はブラックのみ。クリームはよりビンテージ感があって、クラッチバックのような感じで可愛いかったので是非クリームも発売して欲しいものです。
それでは実際に「キルバーン/KILBURN」と「キルバーン2/KILBURN Ⅱ」を比べてみましょう。
外観
左:キルバーン「KILBURN」 右:キルバーン2「KILBURN Ⅱ」
まずは外観の違いから。
キルバーン(左)の方が横長の感じ。
全体のイメージとしては、キルバーンはブラック&ゴールドで、キルバーン2はブラック&シルバー。
キルバーン「KILBURN」
キルバーン2「KILBURN Ⅱ」
フロントグリルは、キルバーンの伝統的なフレット・クロスから、キルバーン2ではコンデンサーマイクにインスピレーションを受けたステンレス・メッシュグリルに変更されています。
個人的にフレット・クロスはマーシャルらしいお気に入りのマテリアルだったので残念です。
またMarshallの立体的なスクリプト・ロゴは、全モデルが1965年途中にブロックロゴから変更されたビンテージ・ゴールドタイプだったのに対し、キルバーン2では1968年以降のホワイトスクリプトタイプとなっています。
キルバーン 「 KILBURN」
キルバーン2「KILBURN Ⅱ」
ボリュームとベース、トレブルの3つのノブの配置は同じ。
実はこのクラスのポータブルBluetoothスピーカーで、本体で高音、低音を簡単に調整できる機能を持ったスピーカーはありそうでないのです。だからこのイコライズ・ノブは貴重な機能。
バッテリー残量表示インジケーターが付いたのはホント助かります。これで、盛り上がりの途中で急に充電切れ、なんて事はなくなるのでポータブルスピーカーには必須ですよね。
表面の仕上げは、どうやら同じ合成皮革を使用しているみたいです。
ただ、電源スイッチやプレートを含め、これまで真鍮を多用していたのが、プラスチックに変更されています。
これはプレキシ・アンプに憧れる多くのマーシャルファンにとっては、ビンテージ感が薄れちょっと残念な変更かもしれません。
キルバーン「KILBURN」 のストラップ
キルバーン2「KILBURN Ⅱ」 のストラップ
ギターストラップをイメージした持ち運び用のストラップは、真鍮金具がアクセントとなっていたキルバーンと比べてシンプルなデザインになりましたが、その代わり厚みを増して幅も広くなり、更に持ちやすくなりました。
ストラップ裏面のギターケースのような深紅のビロードは健在で、程よくコントラストが効いていてバンド経験のある人なら唆られませんか?
そして外観上の最も大きな違いの一つが、ボディーの角についたプロテクター。
このプラスチック製プロテクターは、キルバーン2の特徴である堅牢性を高めるためですが、このように真鍮を減らしたり、正面のステンレス・メッシュも、このプロテクターも全てアウトドアでの使用を強く意識したもの。
これらの見直しによって、防水規格IPX2をパスした防滴防湿仕様となり、多少の雨水などにも耐えれるよになったのはアウトドア好きには嬉しいアップデートです。
接続と機能
キルバーン2はBluetooth5.0 aptX対応のBluetoothスピーカーですが、有線による接続用として、背面にAUX3.5mm補助入力端子が設けられています。
それ以外にはコンセントジャックがあるのみで、防塵防滴仕様のためゴム製のキャップ付き。
Bluetoothのペアリングはとても簡単で、iPhoneでもAndroid、エクスペリアなど全てのデバイスでも素早く接続でき全くストレスを感じませんでした。
そうそう、このキルバーン2には面白いギミックが追加されていたので紹介しておきますね。
そのギミックとは、マルチホスト機能というもので、スマホなどのプレイデバイスを2台まで同時にBluetoothペアリングできて、お互いタイムレスで割込み再生ができるというもの。
どんな風に使うかというと、例えば友達複数でバーベキューパーティーをする時など、Aさんのプレイリストを聴いていた時に、Bさんが自分の好きな楽曲をみんなに聴かせたい場合、いちいちAさんのペアリングを解除しなくても、Bさんが好きなタイミングで自身のプレイリストを再生することができるというもの。
さらにCさんがそこに割り込みたい場合、プレイリストが停止中の人と入れ替わってペアリングができる。
これってカラオケで自分の選曲を予約するのに似てて、タイムレスでみんながそれぞれのプレイリストを聴くことができるという、正にパーティー必須機能なんです。
一人で使用している分には、その機能にピンときませんでしたが、複数で試してみたらこれが便利なの。
Bluetoothは元来1つのデバイスに対して1つのスピーカーでワイヤレス接続するものだから、複数で使うには適さず切替えが面倒だし何よりその間、場がシラけるよね。
でも、それがタイムレスでできるというのはちょっと感動。
しかも、切り替わる際に若干フェードアウト&フェードインするのもDJっぽくてグッド。
プレイタイム
キルバーン2は、2.5時間のフル充電で約20時間の再生時間をを公表していますが、実際に数日にわたってボリュームを4で試してしてみたところ、24時間程再生ができました。
これくらい充電が持つと、ちょっとどこかへ持ち出すときも安心できますよね。
音質
キルバーン2は、デュアル・トゥイーターとシングル・ウーファーのエンクロージャーによるステレオなので、多少ですが左右の分離を感じることができ、その上マーシャルらしい高域の抜け感を持つドライブサウンドに仕上がっています。
音質と音量的には、このクラスのポータブルBluetoothスピーカーでは頭ひとつ抜けている感じ。
因みに音量はキルバーンと比べて約30%アップしています。
これも屋外での使用に耐えうるためのパワーアップでしょうか。
また、キルバーン2のもう一つの特徴は、新たに装備された背面トゥイーター。
このトゥイーターは、とても広い周波数をカバーしていて、そのおかげで音が全方向に回っているような立体感を感じちょっと感動的です。
屋外でもそのラウンド効果は抜群で、ちょっとした屋外パーティーや、普通の部屋ならどこに居ても十分なパフォーマンスです。
それに期待を裏切らない音場の広さと、洗練された高域に少し窪んだ中域と迫力の低域のバランスが素晴らしいの。
特に低域に至ってはもはや重低音と言ってもいいくらい。
だから個人的には、もうこれ一台あれば十分じゃんっていうのが正直な感想です。
その代わりちょっと苦手な部分もあって、クラッシックのような繊細な音楽を聴くには少しクリアさが物足りない気がします。
それにヒップホップやクラブミュージックなどを聴く場合、低音のディレイが若干長くなって、やや篭って聴こえることがあります。まあ、このサイズでは仕方がないのでしょうけどね。
それでも前モデルのキルバーンと比べて、信じられない程リッチでパンチの効いたなサウンドだということは間違いありません。
まとめ
マーシャルが世にアンプを送り出して50年後の2012年以降、音質だけではなく、インテリアやファッション、スタイリッシュ・ガジェットとして台等してきたマーシャル/Marshallのスピーカー群。
これまで演者側の道具であったマーシャルが、オーディエンス側にやって来て同時にインドアからアウトドアに活躍の場も増えていく。
そう思うと『キルバーン2/KILBURN Ⅱ』は多様性を持った、ある意味最もマーシャルっぽいヤンチャなスピーカーかも。
伝統的な美しさを変えないそのヤンチャなラウドネス・スピーカー、できればウルルのような広大な地で、あるがままにフルチン、いや、フルテンで鳴らしてみたいものです(笑)!!
ぶん / Noboru