隠れた音楽映画、グザヴィエ・ドラン『mommy』
大学時代、何度も何度も観た『mommy』を久しぶりに鑑賞。
2015年に日本公開された、カナダ・ケベック州出身の監督、グザヴィエ・ドランの作品で、
架空のカナダを舞台にした「家族の希望」の映画。
この映画、本編のほとんどが1:1、正方形のアスペクト比になっている。(しかも、映画の途中でアスペクト比が広がる!)
初めて見た時、サブカルチャーオタクもどきの私は「斬新!おしゃれ!好き!」となって、まんまとどハマり。
色調も温かみがあって、どこを切り取っても、CDやLPのジャケットみたい。
この映画で一番注目すべき要素は「音楽」。
主人公であるダイアンとその息子スティーヴが作ったオリジナルのコンピレーションアルバムが映画に登場する。
映画内の音楽のほとんどがこのアルバムから流れてきて、ダイアンもスティーヴもそれに合わせて歌ったり踊ったり。
DIE + STEVE Mix 4EVER (とってもいい名前)
これに入っているのが、
Building A Mystery / サラ・マクラクラン
White Flag / Dido
On ne change pas / セリーヌ・ディオン
BLUE(Da Ba Dee) / Eiffel 65
Wonderwall / オアシス
などなど・・・
あれ?TVで聞いたことあるな。ほとんど有名な曲、90年代後半のヒットソングが並んでいる。
なんでかな?と思ったら、監督のご意見がコチラ↓
『mommy』の音楽は、知らないうちに全ての観客と触れ合い、彼らが自身の体験を通じて、この映画の世界に入り込むことを達成していると思う。(中略)”映画の中で音楽を流す“ダイエジェティック”なアプローチにおいては、観客は監督の意図や要求を忘れて、そのキャラクターの赤裸々な本心に触れることができる。 (『mommy』パンフレットより)
ふむふむ・・・
つまり、例えば、映画でoasisのWanderwallが流れ始めた時に、
観ている本人も、登場人物たちと一緒に、Wonderwallを聴いていた頃の自分自身の思い出を懐かしむ。
そのことで、より一層、映画と直接的に結ばれていく、と。
なるほど~。
・・・とはいえ、私は23歳邦楽インディーロック好き。Wonderwallが発表された時に産声をあげていた。
その他のヒットソングも、ハム太郎に夢中だったので懐古する思い出もない・・・。
悔しい。
だから是非、洋楽をたくさん聞いていた年上の皆様に観て頂いて、私の悔しさを挽回していただくしかない!
切なくも暖かい、不器用ながらも愛に溢れた、本当に素敵な映画。レンタルショップで今日、借りて帰りましょう。
日本では、観客全員がヘッドホンで聴く上映会も行われたそう。
確かに、音楽がたくさん流れるのでヘッドホンで聞いてみてもいいかも~!
試してみよ~っと。