江ノ浦測候所

東京の緊急事態宣言も解除されたので、前から一度行ってみたいと思っていた江ノ浦測候所に行ってきました。

ここは、写真家でありアーティストでもある杉本博司さんが幼少の頃、湘南電車の窓から見た水平線の海景の記憶の地で、人類とアートの起源に立ち返り、将来、遺跡になることを想定し日本文化を発信の拠点として自ら設計監修した「江ノ浦測候所」という名のアート空間。

敷地内には、ギャラリー棟、光学ガラスでできた光学硝子舞台、石舞台、千利休の「待庵」を写した茶室、杉本さん自身が長年収集してきた銘石を配した庭園、門、待合棟などで構成されていて、継承が困難な伝統工法で再現されています。

 まず最初に目に入るのが室町時代に建てられた名月門。表参道の根津美術館の正門として使われていたものを移築したもの。


夏至の日の出の方角に向かって海抜100mの位置に建つ100mギャラリー。

 


こちらは冬至の日の出の方角に建つ隧道入り口。





カメラやメガネのレンズ用光学ガラスで作られた光学硝子舞台。

 

山形県小立部落の石鳥居に準じて建設された石造鳥居。

千利休の「待庵」を写した「雨聴天」という名の茶室。杉本さん直筆の掛軸は、日々是好日 / にちにちこれこうにち』を、杉本さん流にもじって『日々是口実』に。毎日お酒を飲みながらグダグダ言っているのがいいんだそう。笑

 


樹齢1000年を超える屋久杉のターブルは、高野山の大観寺にあった水鉢が支柱になっています。

悠久の昔、古代人が見てきたであろう景色や、自身の位置の確認のための作業がアートの起源とする杉本さんが、過去と未来を繋ぐ文明の継承の場として作ったこの庭園には、古墳石室に使用された石や飛鳥時代の礎石、藤原京の石橋、京都市電の軌道敷石に地元の根府川の石など様々な石が使われています。

法隆寺若草伽藍の礎石など、杉本さん自身が写真を売って購入した石も多いそう。

なんでも写真は100年で朽ち果てるけど、石は数千年〜数万年存在し続けるから写真より価値があるんだって。

今回ここに来て、アートが秘める無限の可能性をさらに感じましたね。

 

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ぶん / Noboru