マーシャルの定番ヘッドホンの最新作『メジャー3 BLUETOOTH』のレビュー

ロックスタイルのワイヤレスヘドホン

熱烈なファンを多く持つイギリスの「マーシャル/Marshall」ブランド。

ブランドの象徴的なアンプをモチーフに高品質のオーディオ製品をリリースしてきました。

そんなマーシャルの定番中の定番ヘッドホンと言えば『メジャー / MAJOR』シリーズです。

今回、そのメジャーが新たに進化し、『メジャー3 BLUETOOTH / MAJOR3 BLUETOOTH』と有線タイプ『メジャー3 / MAJOR3』として2018年9月27日に新発売されます。

尚、マーシャルのオフィシャルアナウンスによると、今回の主な変更点は、イヤーパッドと40mmのダイナミックドライバのアップグレードということになっていますが、果たしてどこまで変わったのか?興味ありますねー。

そこで早速、『メジャー3 BLUETOOTH』と前モデルの「メジャー2BLUETOOTH」を比較しながらレビューしてみたいと思います

 

 

スリムになったクラッシックスタイル

これまで頑なにクラシックデザインを貫いてきた『メジャー』ヘッドホン。

今回もそのスピリッツは受け継がれ、パッとみただけでは外観的な違いはわかりませよね。

 

デザイン

ヘッドバンドがスリム化され、ストレートタイプになった

左:メジャー3BLUETOOTH     右:メジャー2BLUEOOTH

 

どうですか、結構細くなったと思いませんか。

これだけで24g軽量化されたそうです。しかもこのヘッドバンド、独自の3Dヒンジを採用し、ねじれ方向への自由度が格段に増したため、どんな頭の形にも自然にフィットするよう新設計されたもの。

細かい部分ですが、裏地との縫製は剥い目も隠れてよりモダンな感じに見えますね。

メジャー2のヘッドバンドと比べると、ホールド感は若干落ちたかなと感じるけど、その分側圧が減って窮屈でなく装着していて楽チンです。

実際には、耳当てをつけてるようなフワッとした感じ。

左:メジャー3BLUETOOTH      右:メジャー2BLUEOOTH

 

メジャー2の側圧が10段階中10だとすると、メジャー3の側圧は6ぐらいでしょうか。

こんなに捻れますから。

 

 

 

丈夫になったイヤークッション

メジャー2までのイヤークッションは、とっても薄くて柔らかい合皮でした。


左:メジャー3BLUETOOTH      右:メジャー2BLUEOOTH

 

メジャー2BLUEOOTH

この合皮の着け心地はすごく気持ちがいい反面、柔らかすぎるため長年使っていると、擦れて破れたりするのが欠点でした。(その代わり交換できるよう取り外し式)

 

メジャー3BLUEOOTH

それに比べメジャー3のイヤークッションは、もう少し厚めの合皮を使用していて、しかもイヤークッション自体の厚みも増したようで、完全固定式となり取り外すことができません。

印象としては、メジャー2のイヤークションがイチゴ大福のようなもっちりした柔らかさだとすると、メジャー3のイヤークッションは、大判焼きのようなふわふわ感。

まあ、ここまでしかっりとした合皮ならほとんど破れることはなさそうだけど、今後ホワイトが発売されたら、経年劣化で変色した際に交換できないというのはちょっと残念です。

 

 

 

丸みを帯びたイヤーカップ

イヤーカップ(ハウジング)の形状が少し丸くなって、表面のシボがヘアバンドと同じ仕様になったことと、イヤーカップと本体を繋ぐスチールアジャスターが太くなって丈夫になりました。この辺りは耐久性の向上で単純に嬉しいところですね。

右:メジャー3BLUETOOTH       左:メジャー2BLUEOOTH

メジャー3BLUETOOTH

メジャー2BLUEOOTH

Marshallのロゴの厚みも若干厚くなったようで、より存在感を感じます。

メジャー2BLUEOOTH(ヒンジ)

メジャー3BLUEOOTH(ヒンジ)

メジャー2BLUEOOTH(ヒンジ)

メジャー3BLUEOOTH(3Dヒンジ)

こうしてディティールを比較してみると、前モデルまでは、比較的真鍮を多用していたのに比べ、メジャー3では真鍮が減りました。製造コストによる影響かもしれませんが、少し残念な感じがします。

ただし、パーツが小さくなっても逆に耐久性は向上したようです。

 

※ここで少し補足しておおきます。
マーシャルのヘッドホンに使われているゴールの金属は真鍮です。真鍮は、人の手脂などで酸化し黒っぽく変色していきますが、これは真鍮の特徴で、劣化ではなく化学変化ですのでご心配なさらず、その経年変化も含めて楽しんでください。

 

 

 

音 質

気になる音質は、これまでメジャーの伝統として重厚な低域が際立っていたのが、このメジャー3では、その伝統の低域をすっきりとさせて、中高域をより明瞭にして上位モデル『MID』の弟分っぽくダイナミックドライバをチューニングした感じ。

これによって低域から高域までのバランスが良くなって、どちらかというと少しフラットで、幅広いジャンルの音楽にマッチする万能型ヘッドホンに生まれ変った見たい。

音場はオンイヤーとしては広め。これまでのライブ感バリバリのメジャー2とはひと味違って、ラグジュアリーに純粋に音楽を楽しむためのヘッドホンだなって言う味付けです。

またメジャー2同様、Bluetooth aptX対応なので、アンドロイドで高解像度の音質を楽しむことができます。

今回は多くのパートの楽器の重なりと、低域から高域にかけて幅広い音域のあるリファレンスに最適な楽曲として、イーグルスの"Hell Freezes Over"に収録の「ホテルカリフォルニア」で試聴してみましたが、各パートの音の分離の良さと、ドラムやベースのパンチの割に突っ込んだ感じがしないところ、パーカッション、リードギターなどのキレの良さと、クリアなボーカルとその余韻の残りがとてもいいバランスでまとまっていると思いましたね。

欲を言えば、もう少し雑味がなければサイコーなのですが、この価格帯で考えると十分納得できるチューニングです。

 

 

 

機 能

機能面はいたってシンプル。イヤーカップに付いているコントロールノブを操作するだけ。

まず、長押すとアラーム音が鳴って電源が入ります。そのまま手を離さず長押したままにすると、2回めのアラーム音が鳴り、Bluetoothのペアリングが始まります。

終了の際は、3秒長押しすると電源が切れます。(長らく使用していない場合は勝手に電源が切れます)

iPhoneなどのデバイスのBluetooth画面に「MAJOR Ⅲ BLUETOOTH」と表示されペアリング完了。

これで音楽を聴けるようになり、2回目以降は電源を入れると自動的にペアリングしてくれます。

また、複数のスマホやタブレット、PCともペア設定することも可能です。

これらの動作はLEDの色や点灯、点滅でも確認することができます。

 

その他、楽曲の再生・停止・曲送り/曲戻し・音量調整と、電話通話時のON/OFFもでき、コントロールノブでほとんど全ての操作が可能です。

なお新たな機能として、このノブを2回押すと、音声アシスタントを呼び出すことができます。

アンドロイドをお使いの方はGoogleアシスタント、iPhoneの場合はSiriを内蔵のマイクで利用可能です。

これは結構便利な機能ですが、独り言をブツブツつぶやいている変な人に見られるのが心配かな。

また全てのマーシャルのヘッドホンに共通ですが、このメジャー3もとてもコンパクトに折り畳むことができて、旅行などには結構便利な機能なのです。

飛行機の座席背面のポケットなどに入れる時とかも、かさばらないから簡単に収納できるし、使わないときにサッと鞄に収納できるのも地味に重宝します。

 

 

 

付属品

付属品としては、3.5mmのステレオミニプラグ付カールコードと、充電用のUSBコードが付属しています。

充電時間は、メジャー2の約半分に短縮され、完全に充電切れの状態から約3時間でフル充電が可能。

そして、BLUETOOTHでの連続使用時間も30時間以上とのことなので、私の場合は普段使いでも2週間は充電しなくても平気そう。これだけ使えれば充電切れでのイライラもなさそうです。

充電が切れた場合はこの付属のコートで有線として使用できるので、旅行などには忘れずに持っていきましょう。

でも、上位モデルのように収納用のケースや巾着は付いていませんね。残念ですが価格を考えると仕方ないかも。

 

 

 

価 格

気になる価格は、メジャー2BLUETOOTHが、\16,880-(税別)でしたが、メジャー3BLUETOOTHも、\16,880-(税別)と据え置きです。

ちなみに有線タイプは、メジャー2の \13,780-(税別)に対し、メジャー3はなんと、\8,980-(税別)と、\4,800-(税別)も安くなりました。

世の中がどんどんBLUETOOTHに向かう中、根強いコード信者がいるのも事実。

マーシャルのマイノリティーに対して、ちゃんと有線タイプを作り続ける姿勢は立派ですね。

だから、有線モデルのプライスは実質的にはディスカウントプライスで、有線派にはとってもお買い得です。

 

 

 

まとめ

今回こうして「メジャー2BLUETOOTH」と「メジャー3 BLUETOOTH」を比較しながらレビューしてみましたが、ボディがスリムになってモダンさが増したメジャー3 BLUETOOTHは、マーシャルらしさの中にラグジュリーさを備えた万能型ヘッドホンに振ってきたなと感じました。

この変更点は好き嫌いが分かれるところでしょうが、私としては好印象です。

 

長所

バランスのとれたサウンド。

長いバッテリー寿命。

簡単でシンプルな操作性。

コンパクトに折りたためる。

丈夫で美しいデザイン。

良好な接続性(Bluetooth)。

 

短所

ケースが付いていない。

ワンタッチペアリング / NFCが付いていない。
(海外では主流になりつつある、デバイスにかざすと自動的にペアリングしてくれる機能)

ブラック色のみ。

 

全体的にややマイルドになった分、尖った部分が多少薄れアクの強さが緩和されたような、そう、「マッドマン」オジーオズボーンが丸くなったような、ドラッグをやめたカートコバーンのような感じかな。

それでも相対的に見れば、まだまだファッキンロッカーだけどね。

 

マーシャルが初めて世に送り出したヘッドホン『メジャー//MAJOR 』。

It's better to burn out than to fade away.....

「忘れ去られるくらいなら死んだほうがマシ....」

ストイックに自分を追い込むアーティスト達を支え続けるブランドとして、決して燃え尽きることなく、どこまでも突っ走るマーシャル。

そののスピリッツも、一緒に感じることのできるモノ。

それが『メジャー3 BLUETOOTH』なんでしょうね。

 

  

 

 

 

ぶん / Noboru