フォードvsフェラーリ

そう言えば昨年のポヘミアンラプソディから映画館で映画を観ていなかったことに気付いて今更驚きです。

その間、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』や『ジョーカー』を観ようと楽しみにしていたのに、残念ながらいつの間にか上映も終わりすっかり見逃してしまいました。

そこで、今回は忘れないうちに以前から注目していた『フォードvsフェラーリ』を観に行ってきました。第92回アカデミー賞で作品賞を含む4部門でノミネートされ、編集賞と音響編集賞の2部門を受賞した話題の映画なんですが、実は今回紹介するこの映画、今年の2月に見たので鑑賞から既にに6ヶ月が経ってしまいました。そのためここからは半年前のお話です。もう皆さん観終わってますよね。すみません。

渋谷のTOHOシネマでは2ホールで上映していましたが、私が観た大きいホールは満席でしたね。

題名にもあるフォードって、アメリカでNo.2の規模を誇る自動車メーカーとして、創業者のヘンリーフォードがフォーディズムと呼ばれた、高効率の大量生産を導入し、自動車をお金持ちのおもちゃから大衆の手の届くモノに変えた会社。

一方フェラーリは、レース資金を集めるために市販車を作って販売しているイタリアのマニュファクチャーの自動車メーカー。

そんなフェラーリの当時の年間の生産台数は、フォードの1日の生産台数にも満たないほど。それでも、1966年当時のル・マン24時間では3連覇を達成していたスペシャリティーで、今では誰もが知ってる孤高の跳ね馬ブランドです。

アメリカとイタリアを代表する正反対の自動車メーカーの戦いを描いたレースや車好きには見応えのある映画ですね。

 

 

あらすじ

物語は大量生産で大衆車を作っていた巨大企業のフォードが、レースに惜しみなくお金を費やして倒産寸前のフェラーリの買収に失敗し、逆にフェラーリのオーナーであるエンツォフェラーリに馬鹿にされたことに激昂した創業2代目のヘンリーフォード2世社長が、ル・マンで優勝してフェラーリの連覇を阻止し、エンツォフェラーリの鼻柱をへし折る。という実話に基づいたもの。

それまでレースに所縁のないフォードから打倒フェラーリの為に依頼を受けた元レーサーでレーシングカー・デザイナーのキャロル・シェルビー役をマット・デイモンが演じ、名車GT40を開発して運転する破天荒なイギリス人レーサーのケン・マイルズ役をクリスチャン・ベールが演じた。共に初共演でのダブル主演という豪華なメンバー。

ただ、映画が始まった最初の頃は、どうしてもジェイソン・ボーンvsバッドマンのアクション映画に観えてしまいます(笑)

フォード=大衆車、フェラーリ=レーシングカーという真逆の性質の両社が、世界3代レースの内、最も過酷なル・マン24時間で技術とプライドを掛けて闘う様は、子供の頃から憧れてきたフェラーリが好きな私も、ついつい引き込まれてフォードを応援していましたね(笑)

 

でも、端々に出てくるエンツォフェラーリの振る舞いと、ヘンリーフォード2世の振る舞いでは明らかにエンツォフェラーリの方がレースに真摯に向き合う姿が描写されていて、やはりリスペクトしてしまいます。

だって、皆んなが全力で闘っているレースの最中に、レース場からヘリコプターでディナーを食べに行くヘンリーフォード2世は、純粋にモータースポーツを愛していないと誰もが感じたはずです。

勿論現場で奮闘していたシェルビーやケンたちチームスタップは、レースへの情熱と勝利への執念に駆られ一心腐乱に打倒フェラーリに全力を注いでいるのに、フォードの上層部は、そんな彼らに自己保身のための身勝手なリクエストを要求するのがとても不愉快です。

それでも、嫌々ながらその要求に従うシェルビーとケン。

特にレーサーであるケンは、車の開発とレースに勝つことを命をかけているのに、それすら同じチームのフォードに邪魔をされる理不尽さに何度も我慢を強いられるけど、温かく応援してくれる妻や子供に支えられて何とか乗り切り、やっとその努力が報われ念願のル・マン勝利を掴む寸前、またしてもその行手を阻む上層部からの理不尽な命令。

シャルビーは、フォードからルマンで勝利するために車の開発とレース参戦を依頼された独立系レーシングチーム。

フォードの上層部は、外部のチームが優勝するよりメーカーチームが独走レースで優勝することを望むが、シェルビー独創のもと、もはや自力優勝は不可能だと悟り、トップを走るシェルビーに無理やりペースダウンさせ、シェルビーとメーカーチームの同時優勝を目論む。

やむなく悲願のル・マン単独優勝を諦め命令に従うシャルビーとケン。

しかし無情にも……

ここら先は映画を観て確かめてください。

 

このフォードVSフェラーリ、これまでもいろんなレースをモチーフにした映画は数多くあリましたが、ドキュメンタリー映画のようにレース場面がすごい臨場感と迫力です。

映画を観てる誰もが、まるで自分がケンになったつもりで時速300kmの世界を体験できてしまう。

こうなると、今では珍しくなったマニュアルで車を操り運転するという喜びが蘇ってきてゾクゾクしてしまいます。

楽に早く目的地に移動するには自動運転やオートマが便利で快適ですが、ロマンや遊び、趣味となれば自分で操作しメンテナンスをするというのめり込む要素がないと楽しくないですよね。

だから最終的に自分自身で扱えそうなオールドでアナログなモノに人は落ち着くのかもしれません。

車に限らず、時計や、カメラ、オーディオにバイクなど、どんなに文明が進化しハイテク化が進んでも、最後は対話のできる機械が好きだってこと。わかりますよね。

だから人はアナログに惹かれるのですね。

シェルビーといえば、メルセデスのAMGのようにフォードのレース部門の代名詞になっていたけど、そのシェルビーだけではル・マンでのフォードの栄冠は決して成し遂げることができなかった。その栄冠をフォードにもたらした影の功労者であるケンという優れたレーサーは歴史的に否定され続けてきたが、今回その存在にフォーカスしダブル主演としたことは、この映画の純粋性と理不尽さ、情熱と冷淡さというテーマを鋭く表現するのに最適な演出だと感じました。

少しでも車好きな人は充分楽しめる映画だと思います。

劇場の大画面で見るのがオススメですが、既に上映も終わっているので少しでも良い音でレーシングカーのエキゾーストノートを堪能してみてください。


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こんな間近で臨場感を感じる映画にピッタリのスピーカーは、ずばりLa Bite concept /ラ・ボワットコンセプトのPR/01。

低音から高音域までしっかりと緻密な再生力を誇りながら、低音域は32Hzからとしっかりとした重低音でかなりの迫力があり、それでいて音声や背景の僅かな音もちゃんと聞き取りやすいスピーカー。

さすが老舗ピュアオーディオ用スピーカーメーカーの作るスピーカーだけに、アナログの奥深さとデジタルの精密さを兼ね備えた音質は頭ひとつ突出しています。

でもやっぱり映画は映画館で観るのが一番ですよね。ただ最近はこんな状況ですからなかなか映画館にも行きずらいので、お家で高音質スピーカーで少しでも映画館の気分に浸ってみては。

 

 

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ぶん / Noboru